タロット 未来を告げる聖なるカード|A.T.マン著

この本は【参考書籍】です。
タロットカードに書かれている絵を著者なりに解説した図像解説を主に掲載しています。

1996年発行で本来ですと本来なら古書扱いですが、タロットの解説書の古典的な一冊といって良いでしょう。
「です・ます」調ではなく「だ・である」調であり、改行も少ないのでとっつきにくい印象はあるものの、ウェイト版タロットに描かれた象徴を分かりやすい言葉で解説しています。

この本には「正位置なら●●」といった解釈が一切掲載されていませんので初心者向けではありません。
ですがウェイト版タロットに描かれた象徴を上手に拾いながら、イメージを広げやすいように作られています。

例えば『愚者』なら

探究心と自身にあふれる若者が、高くそびえる断崖の上に立ち、旅にでようとしている。下ではなく、上を見あげ、足元で吠える犬など気にもかけない。神秘的なシンボルの模様のついた美しい服をみにまとい、羽根をさした愚者の帽子をかぶっている。肩にかついだ杖の先には刺繍入りの袋がぶら下がり、その中に現世の財産が入っている。左手には一本のバラの花をもつ。顔は知的で、晴れやかで、輝くばかり。まるで背景の太陽のようだ。無垢な若者は自分の期待と夢がきっと満たされると信じて、現世での経験を心待ちにしている

とあります。

『愚者』の説明として良く見かけるように見えながらも象徴の解説が良い感じに行われている事に気づかれたでしょうか。

また「誘導イメージ」「命題」がパスワーキングの手助けをしてくれるのも大変良いです。
イメージしにくいと思いますので『愚者』の誘導イメージを引用します。

楽々と山の頂上に登り、頂きに立って眼下に広がる美しい景色を見わたす。強烈な太陽に照らされて背後に落ちた影は、丘を越え谷を越えて伸び、眼下の壮大な美しい景色と溶け合い、いくつもに分解し、形を崩し、すべてを一瞬ごとに変えていく。最初の崖をやすやすと飛び越え、はるか途方にある未知の運命へと向かうとき、人は自分の行くところどころにどこへでもついてくる影の中を通り抜けて、いつか澄んだ明るい日の光の中に入らなければならないと気づく

この文章を音読しながら愚者のカードを眺めると、カードの世界に入りやすいように感じます。

シンボリズムの解説には、占星術をベースにした解説をしています。
占星術には様々な流派がありますから、人によってはシンボリズム解説に違和感を覚える人もいるかもしれないですね。
また、大アルカナに照応するヘブライ文字が書かれていますが、ウェイト自身はタロットカードとヘブライ文字を照応させていないことを留意する必要があります。

小アルカナは、大アルカナに比較して、極めてボリュームが小さい紹介となっていますが、この本を必要とする人にとっては、恐らくそれはこの本を購入に対する障壁とはならないでしょう。

尚、数カ所に明白な間違い(『死神』の薔薇を赤と書いているなど)がありますので、そのあたりは差し引いて読んだほうが良いでしょう。

収録されているスプレッドは著者がデイリーリーディングと呼ぶ一枚引き、引いたカードに30度程傾けてもう一枚展開する交差法、現在・過去・未来+交差カードの四枚展開の過去・現在・未来スプレッド、思考・感情・感覚・直感に主要(自我)+交差カードの6枚展開の四作用スプレッドおよび7枚展開の精神統合スプレッドと、国内のタロット本ではあまり見かけないスプレッドの他に古代ケルト十字と心理ケルト十字という展開法は同じでポジションだけ異なる二種類のケルト十字とキーカード無しの12枚展開の占星術スプレッドが紹介されています。

著:A.T. マン, 原著:Mann,A.T., 翻訳:薫, 矢羽野
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