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ブックレビュー:占いはなぜあたるのですか

この書籍は1999年に「若き」鏡リュウジ氏によって執筆されたものがベースとなっています。

巻末のジェフリー・コーネリアス氏による補遺および宮台真司氏による解説を抜いても尚400ページ近くあるこの本は、あつい。
そう。あらゆる意味において「あつい」のです。

私は鏡さんのお話を講習会や勉強会などにおいて何度か聞いている立場にあるのでわかるのですけれど、この本は「ノッている」ときの鏡さんです。
楽しそうに、そして饒舌に、星のことを、ユングのことを、ご自身のことを語っているときの鏡さんが「ここ」にいます。

この本のタイトルは『占いはなぜ当たるのですか』です
ですけれど400ページの全てを使って「占いはなぜあたるのか」が論考されている訳ではありません。
専門書程詳しくはないものの星占い、ユング、そして鏡さんご自身のことが沢山語られています。本当に楽しそうに、饒舌に、丁寧に。

著:鏡リュウジ
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ですから「占いはなぜあたるのか」だけを知りたい人にはちょっと退屈かもしれません。
いつになったら「占いはなぜあたるのか」についての論考が始まるのだ、と感じる人もいるかもしれません。

実をいうと、この本には大胆な仕掛けがあって「ある場所」にその「答えの一部」が書かれています。
でも多分、それだけを読んでも「ハラオチ」しないと思います。

なぜ、鏡さんは400ページ近くという「あつい」量を使って星の、ユングの、ご自身のことを書いたのでしょう。

そこにこそ、この本の存在意義があるのではないか、と私は思っています。

同書には1970年代、アメリカの科学者によって「反占星術声明」が上がったときに、カール・セーガンが声明に対し批判したことを紹介しながら以下のように述べています。

”この署名に加わった科学者のうち、果たして何人が占星術を真剣に研究してみただろう。初めからそんなものは当たらない、研究するにも値しない、と決めつけていたのではないだろうか(P131)”

星占いのことを知らなければ、星占いのことが議論出来ないように、星占いやユング、そして鏡リュウジという人のことを知らなければ鏡リュウジさんが「占いはなぜ当たるのか」をどのように考えたのかもハラオチしない。そう考えたとしても不思議はないように感じました。

みなさんも、鏡さんの「あつい」話に付き合ってみてください。
そうすることでほんの少しでも鏡リュウジという「人」が占いをどのように考え、そして占いを愛し、疑っているのかがほんの少しでも「わかれば」鏡さんがどのように「占いはなぜ当たるのか」を考え、筆を起こしたのかも伝わるかもしれません。

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