先日、質問箱に
”ソードのエレメントについて、連想しずらいのですが、人との競争心でも出やすいのでしょうか https://peing.net/ja/q/b8ae55f3-b3f3-4300-97a2-54beea5f6314 ”
というご質問を頂きました。
回答には
”「人との競争」と言うと『ソード5』を連想しますが「エレメント」としてソードを見ますと競争というよりは「知的・霊的」なエネルギーのほうが強いかも。”
と書きましたけれど、エレメントとしてみなしたときにワンドとソードではどちらが「人との競争心」なのかな、と考えるとワンド派に分かれるようにも感じます。
いずれにせよエレメントとしてのソードは「知性・霊的」なものである、とされています。
ですが、ソードのカードから「知性・霊的」なものを想像するのは難しいかもしれないですね。
本エントリでは「風・知性」を想像しにくい、イメージが膨らみにくい「剣」という絵をどのように考え、捉えてゆけば良いのかを簡単に(でもちょっとだけ長い)ご説明したいと思います。
「エレメントとしてのソード」のイメージは掴むのが難しい。風だけにw
タロットの小アルカナには「ワンド・カップ・ソード・ペンタクル」の4つのエレメントが割り当てられています。
ワンドは火、カップは水、ソードは風、ペンタクルは地といった魔術(あるいはこの世の中)を構成する4つの元素を象徴しているとされています。
ワンド・カップ・ペンタクルの3つは「エレメントとしてのイメージ」を想像しやすいかもしれません。
例えばワンドの外向的・積極的・情熱的といったイメージは「火・棒」から連想しやすく、カップも愛情・受動性といったイメージを「水・盃」から連想しやすい。
ペンタクルは「見た目が金貨」ですので金銭・労働、あるいは現実的といったイメージを持ちやすいと思います。
ですがソードの剣と「知性・霊的」は、あまりピンと来ない。
言っちゃなんですが「そう言われているからそう」なんだ以外の説明をするのは難しいように感じます。
魔術的に厳密に考えると風のエレメントは「空気 Air」ですが、そうなるとますます想像しにくいかもしれませんね。
ソードのイメージが「つかみにくい」のはエレメントが「風」だから、と考えるのはさすがに穿ち過ぎな気もしないではありませんけれど、捉え方のひとつとしてアリな気がしていますww
(特に『ソードナイト』)
「切り裂く・冷たい」という連想
ソードのエレメントから「切り裂く・冷たい」という連想をするのは「剣」そのものから直感的に得られる連想だと思います。
『ソード3』や『ソード10』、あるいは『ソード5』など「厳しい印象」が多いので「切り裂く・冷たい」という連想もあって良いと思いますし、私自身も採用することはありますけれど、必ずしもそれだけでは無いと思います。
剣は「知」の結晶。道具であり、武器でもある
剣は道具であり、武器でもあります。
「それを言ったらワンド(棒)も武器ですよね」と思われる方もいらっしゃると思いますけれど、武器としての棒と剣では手間の掛かり方が違います。
棒でも人を殺す事は出来ますが、剣が生まれた事により、より高度で大規模な戦争となっていったというのは学校でも教わったとおりです。
剣は上手に使えば大きな動物を倒したり、自己鍛錬の良き道具となりますが、使い方を間違えれば人を傷つけたり、場合によっては相手の命を奪う事だってあります。
ソードのエレメントは道具としての「剣」、そして「知性や直感力」をどのように取り扱っているのか、を象徴していると言って良いでしょう。
「知に働けば角が立つ」
「知に働けば角が立つ」という言葉は、夏目漱石の『草枕』に出てくる文章なのですけれど、『ソード』に厳しい印象が多い理由を良く表現しているようにも感じます。
知恵や知識が集まる・交流をしようとしたときに「理解」という方向性に働く以前に「悲しみ・ぶつかり合い」が生まれやすいということを『ソード3』は示しているのではないでしょうか。
また、知を象徴するのが棒でも盃でも金貨でも無く「剣」である、というのも興味深いところです。
剣は人の知恵と技術が結晶したものの一つであり、その出現がもたらした影響は大変大きいものです。
剣は大型の動物を倒すのに使われて来ましたが、同時に人間同士の争いにも用いられました。
頂いたご質問では「人との競争心」でソードが出やすいか、という事でしたけれど、「知」同士が争うと考えれば「人との競争心」という読み方は間違っていないどころかソードというエレメントの本質を突いていると言っても良いのかもしれないですね。
戦争と平和
剣が垂直に立てられて描かれているのは『正義』『ソードクイーン』と『ソードエース』の3枚です。
3枚ともに「判断」が象徴されていると言えますし「占い」として『ソードエース』を考えるなら「冷静な判断・思考のはじまり」と考えて良いのですが、『ソードエース』の札はエレメントとしてのソードを端的に表している、と言っても良いでしょう。
『ソードエース』の切っ先には、平和の象徴であるオリーブと、男性性を象徴するシュロ、そして王冠が描かれています。
垂直に立てられた剣の左右には3つずつヨッドが描かれており、全体的に「バランス・調和」が存在しているようにも感じます。
前述しましたようにソードのカードは厳しい印象のある札が多く感じられますけれど『ソードエース』は静寂と言いますか静謐さを感じられる方も多いのではないでしょうか。
先程は「知に働けば角が立つ」と書きましたけれど「スタート・塊」である『ソードエース』ではバランスが保たれています。
風は掴みどころがなく、知に働けば角の立つことも多いかもしれませんが「戦争と平和」を天秤に掛け、冠が象徴する王国(私達ひとりひとりの心)を安定させてゆくには、どのように「知」と「剣」を使ってゆくのが良いのかを考える必要性が描かれているわけですね。
・・・などとウダウダ書きましたけれど『ソードエース』に描かれている「王冠とシュロ・ヤシの葉」の元ネタはビスコンティ城の壁画だったりするというwwww