ウェイト版タロットの何枚かに山が描かれているのは皆さんご存知だと思います。
恐らくもっとも多くのタロットカードに描かれている象徴のひとつだと思うのですけれど、その割には「占い上の意味・象徴」としてはっきりした印象が無いんですね。
8/11は「山の日(いつの間に??)」という事ですので、山の描かれたタロットカードを抜き出し、類似した感じのするカードを並べて「山脈」風にしながら「占い上の意味」としての山に少しだけ言及してみようと思います。
◎未来、あるいは未知の場所としての「山」:ソード10・ソード6・審判・愚者・カップ8・ソード5
「未知の場所」として山が明確に描かれているのは『ソード6』『審判』『ソード10』の3枚です。
いずれも大きな川、あるいは湖の「向こう岸」に「青い山」が描かれています。
『ソード6』に描かれている船が魂を運ぶとされるパント船からも分かるように「向こう岸」は黄泉の国を暗示していますが、タロット引いただけで死ぬわけではありませんから「あなたにとって知らない場所・知らないステージ」へと移り変わる暗示として「向こう岸・山」が描かれています。
湖(あるいは海)と山という組み合わせで見ると『カップ8』『ソード5』も同様に考える事が出来るかもしれません。
占い師によっては『カップ8』に描かれている人物は「完成を間近にして、新しい事に挑戦をする」暗示として山を読んでいます。
『ソード5』の山は全くと言って良い程言及はありませんが、個人的にはたなびく雲の不穏さとともに「戦いは終焉したように見えるが波乱は予感される」象徴としてリーディングに加えることがあります。
『愚者』の背景には『審判』同様峻厳な山が描かれておりますが、マルセイユ版タロットに描かれていない新しい図像であるにも拘らずウェイトは言及をしていません。
愚者は「世界で最も深い深淵」の前に立っているという言及のみがあるので、背後に聳える山に登ったとしても「世界で最も深い深淵」はそこに無いのか、あるいは愚者自身未知なだけで「まだ困難は色々あるよ」と言いたいのかもしれません(考え過ぎかもですが)
◎困難・試練・ゴール・あるいはただの風景としての「山」:ソードペイジ・ペンタクルペイジ・ペンタクルエース・力・恋人たち・ペンタクルクイーン・ソードエース・ソード8
『恋人たち』と『力』には色違いで似た印象の山が描かれています。
この山には「絶対何かの意味・象徴があるに違いない」と思うのですけれど、明確な言及があまりありません。
『ペンタクルエース』にも『力』と同じ形状の山が手入れされた庭園の門の向こうに描かれており「向かうべき場所・ゴール・達成するべきこと、あるいは困難」の示唆として解釈されることが多いようです
向かうべき場所という意味においては『ソード8』の山(もしくは城)も同じように解釈出来そうですね。
お城に向かう筈なのに、剣に囲まれ、束縛されて身動き出来ない、という解釈をする方が何人かいらっしゃいます。
あるいは城を「出てきたところ」と見立てて「ある場所(状況)から行動をしようとしたのに困難が立ちふさがっている」という解釈をする方もいらっしゃいます。
『ソードペイジ』『ペンタクルペイジ』『ソードエース』にも山は描かれていますが、占い上の意味として明確な意味があるかは占い師次第、あまり言及されているように見えないけれど、占いの要素に入れても良いのかな、という感じです。
◎オマケ:ワンドのコートカードに描かれている山
今回敢えてワンドのコートカードに描かれている山は除外しています。
ウェイトは「山もしくはピラミッド」と書いていますが、風景というよりは「ワンド=火」の象徴として描かれていると考えたほうがスッキリしますので、占い上の示唆として読まないほうが良いのかな、という判断です(絶対読んではいけないという事ではありませんので念のため)