タロット公式テキストブック

この本は【参考書籍】です。

ウェイト版誕生100周年を記念し、魔女の家BOOKSより刊行された、ウェイトの”The Pictrial Key to the Tarot”をベースに書かれた本です。
ウェイト版タロットとは何であるかの基礎的な知識を得る為の参考書籍として持っておいて損の無い書籍と言える一方で「タロット占い」の参考書としては「とっつきにくさ」のある一冊とも言えるでしょう。

この本の存在を知った読者は「タロットが読み解けない。きっと著者のウェイトが書いている本を読めばもっとタロットが読み解けるようになるに違いない」と願って購入する事でしょうけれど、「タロット占い」が上手くなるような事は多分ありません。

この本はウェイト版タロットを制作したウェイトが、タロットに対してどのような思想を持っていたのかの「片鱗」に触れる為のものであり、プロを目指す人が原文を読む為の補助的な材料として利用するのが良いでしょう。

また、この本は大アルカナの解説と示唆を纏めて表示していますが、原著”The Pictrial Key to the Tarot”では意図的に章を分けていることに注意してください。
これはウェイトがオカルト研究者であり、タロットを「占いの道具」というよりは、魔術やオカルトの研究対象として見ていたからでありますが、翻訳本が刊行されるときに「使いやすいよう」に纏められたという経緯を理解しておく必要はあるでしょう。

またPart4『信託の外陣』の最初の項目として書かれている『大小アルカナの違い』(注:これも厳密に言えば『ワンドのスート』の”前”に書かれているので、コンテンツとしての正確性に欠けるといえますが、それはそれとして)に

よって、断言するが、とくに本書で用いたタロットに関しては、小アルカナは占いの意味より高度な暗示は持たない。
数秘学、言葉の力、神の哲学、そうした全ては小アルカナの札には関与しない。
数秘学、言葉の力、神の哲学、そうした全ては小アルカナの札には関与しない

と書かれていますが”The Pictrial Key to the Tarot”には、少なくとも「断言」する形でそのような事は書かれていないことは留意したほうが良いでしょう。

ウェイト版タロットの小アルカナには黄金の夜明け団の秘密の書であった『Tの書』に書かれているような占星術やカバラとの照応を見出す事は難しい(注:絶対出来ないわけではありませんが)ように感じるのは事実です。
しかしながらウェイトが”The Pictrial Key to the Tarot”で上記に引用したことを「断言」しているか、というと「そうではない」としか言いようがありません。
おそらくは編集もしくは執筆に携わった人が「そうしたほうがより分かりやすい」と考えての事であろう、というのは推測出来ますけれど、あたかもウェイトが言ったかのように書かれているのは、いささか残念であると言わざるをえないでしょう。

著:アーサー・E. ウェイト, 原著:Waite,Arthur Edward, 翻訳:シビルオカダ
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