概要
『正義』のタロットカードが持つイメージは”バランスと公平性”です。
正義の女神は垂直に掲げた剣で冷静に、左手に持つ天秤で公平に判断を下すでしょう。
『正義』と呼ばれる人物は、右手に剣を、左手に天秤を持ち、2つの柱の間に座り、こちらをしっかりと見つめています。
剣を持つ右手は高く掲げられ、天秤を持つ手はやや下に傾いています。
柱の間には紫色の幕が掛けられています。
【ディテール解説】
剣と天秤
『正義』の持ち物は垂直に掲げられた青く塗られた剣と天秤です。
「剣と天秤」は正義の女神ユースティティア、あるいはアストライアを象徴するものであり、裁判所や法律事務所などでも剣と天秤を持った女神像を見る事が出来ます。
青は神性を示す色であることから彼女が霊的な力を借りて公平に「裁き」を下す様子が此処に示されています。
二本の柱
ウェイトが指摘するように『正義』のカードは『女教皇』に良く似ています。
ですが二本の柱を見ると、なんかしょぼいですよね。
二本の柱が描かれているのは『女教皇』『法王』『正義』の3枚ですが、『正義』のカードに描かれている柱が一番寂しい感じです。
色もグレーで『法王』と同じであり、『正義』がいるのは私達の世界である、ということを暗示しています。
紫(赤)の幕
背後に掛けられた幕はウェイト版タロットでも版によって着色が異なっていますが概ねくすんだ赤、もしくは紫色に着色されています。
背後に幕が掛けられているのは『女教皇』にも共通しますが、『正義』と『女教皇』は「似て非なるもの」であるとウェイトが指摘しているように、幕の向こうに行くことは難しいのは同じでも「幕の向こう」にある世界は全然違うということになります
赤い服
彼女は赤い服を着ていますが、この事に対する解説は殆どありません。
井上先生が『タロットの歴史』の中で”司法官の赤い法衣(P125)”であると指摘しているくらいでしょうか。
イギリスの最高裁判官が赤い法服を使用していますが、マントが緑色ではないので、違うかもしれません。
赤い服から情熱を読み取る人もいるようですが、どちらかというと『正義』は冷静な判断をしている印象のほうが強いように感じます。
解釈の例ー正位置
状況:バランスを保つ・感情に流されない・安定性
心境:冷静・対等な立場・恋愛関係に至れない
対策:責任を持った行動・公平に振る舞うこと・合理的判断の必要性
解釈の例ー逆位置
状況:不公平・理不尽・バランスが崩れている
心境:迷いが多い・偏見に満ちている・変化しやすい感情
対策:偏見を持っている可能性・冷静に判断する必要性