概要
『悪魔』のタロットカードが持つイメージは”どっぷりとハマる状況・心境”です。
全裸の男女が悪魔によって鎖に繋がれていますが、逃げようと思えば逃げられそうにも見えます。
真っ暗な闇の中、二人の男女が全裸で鎖に繋がれています。
彼らは角が生え、尻尾まで生えていますが、首に掛けられた鎖は緩やかで、その気にさえなればこの場を立ち去ることも出来ます。
しかし、二人の男女は微笑みを交わし合い、この状態を楽しんでいるかのようにも見えます。
黒い立方体の上にしゃがみ込む悪魔は『法王』に良くにたポーズを取っています。
『法王』との違いは右手のサインであり、『法王』が祝福のサインであるのに対し『悪魔』の指のサインは人を地獄へいざない、あるいはとどまらせるのでしょう。
悪魔の持つ松明は下に下げられ、男性に生えた尻尾にエネルギーを与えているかのようにも見えます。
ディテール解説
鎖で繋がれた全裸の男女
『悪魔』のカードで占いの示唆を導き出しやすいのは、鎖で繋がれた男女でしょう。
鎖は緩やかであり、首にキツく巻き付いてはいません。
この事から「その気になればいつでも、この状態から抜け出すことは出来る」という示唆が導き出されます。
逆に言えば「その気になれないから、この状態を続けている」とも言えるわけですね。
真っ暗な背景
大アルカナで黒い背景は『悪魔』と『塔』の2枚です。
なんだか悪い予感をそこに感じ取る人も多いとは思いますが「何も見えない(愛に耽溺している)」というように解釈をする事も出来るでしょう
悪魔のポーズ
悪魔のポーズは『法王』と似ています。
『法王』と異なるのはハンドサインで、「祝福の逆」のサインを送っているとされています。
『法王』もしくは『恋人』との類似
ウェイトは『悪魔』のカードが『法王』に似ている、としています。
ですが何人かのタロティストが『恋人たち』と構図が似ている、とも言っていますね。
個人的には『悪魔』『法王』『恋人たち』には構図・ポーズ・人物の描かれ方にそれぞれ共通項があると考えています。
左手に持った松明
悪魔は左手で松明を持ち、その松明は男性の尻尾に炎を付けています。
ウェイトは『法王』との類似を言及していますが『魔術師』のようにエネルギーを流しているのだ、と仮説するならば、悪魔によってエネルギーを与え続けられているというように考える事も出来るかもしれません。
また、火がついているのに熱いと感じないくらいに感覚が麻痺しているという考え方も出来るかもしれません。
場合によっては「今の状況は良くない」と分かりながらも「ここにとどまっているしかない」と思っている事を象徴しているのかもしれないですね。
バフォメットに似た悪魔
描かれている悪魔は、エリファスレヴィの描いたバフォメットと共通点があります。
額の逆五芒星
逆五芒星のサインは、悪魔のサインである、とされています。
水星のサイン
ウェイトの解説には「みぞおちのところに水星のサインがあり」とありますが『悪魔』のカードには描かれていません。
描き落としたのだという人と、レヴィの絵を説明している説があります。
解釈の例ー正位置
状況:束縛から逃れようとしない・不適切な関係・搾取される
心境:誘惑を断ち切れない・ぬるま湯・エゴイスティック
対策:求められる自制・誘惑を断ち切る・現実に目を向ける
解釈の例ー逆位置
状況:束縛からの開放・幻想を見破る・休養
心境:気持ちを楽にする・執着から逃れられる・問題解決の糸口を見いだす
対策:刺激を探す・快楽を楽しむ・相手との関係を濃密にする