概要
『塔』のタロットカードが持つイメージは”急転直下・解放”です。
雷に撃たれるような状況でも悪いことだけとは言えないのかもしれません。
切り立った崖の上にそびえ立つ立派な塔に、雷が落ちている様子が描かれています。
豪華な衣装を身にまとった人物が二人、塔から投げ出されているのが見えます。
彼らの表情は驚きと戸惑いに覆われています。
塔のてっぺんには金色の王冠が顕現していますが、雷の衝撃によって、無残にも墜落をしかけています。
真っ暗な空に雲が沸き立ち、沢山のヨッド(右側に10個、左側に12個)が降り注いでいます。
このことから塔への落雷は自然現象ではなく、神の起こしたものであることが伺われます。
ディテール解説
落雷
塔の天辺に雷が落ちている様子が描かれています。
この雷はカバラ(生命の樹)の中をケテルからマルクトに向かって流れる様子に似ています。
占いの上では「突然の出来事」「びっくりするようなこと」「自分たちの意志とは無関係に起きる」「おおいなる意志によって起きること」のように読むことがおおいです。
塔から投げ出される二人の人物
切り立った崖の上にそびえ立つ立派な塔に、雷が落ち、豪華な衣装を身にまとった人物が2人、塔から投げ出されているのが見えます。
彼らの表情は驚きと戸惑いに覆われています。
この絵を「塔から投げ出される」と読むか「塔から飛び降りる」とみなすかによっても解釈は異なってくるかと思いますが「転落」「退避」「墜落」「解放」のような示唆が導きだされる事が多いように思います
飛ばされる冠
雷によって塔の最上部に据えられた冠が飛ばされています。
冠は「ケテル」の象徴ですが、人間の手によって据えられた冠は神を越えようとする人間の欺瞞の象徴といえるでしょう。
占いの上では「プライドが打ち砕かれる」「プロジェクトの中断・失敗」「高慢な態度を改める」「挫折」のように読むことが多いように思います。
このカードが出た時は、あなたにとっての「冠」が何であるのかを考えると良いかもしれません。
精神的象徴としての塔
タロット本では、あまり解説されていませんが『塔』に描かれている塔は建築物としての塔ではありません。
塔は私達の心の中にあるものを象徴しています。
従って単純に「破壊」とは読みませんよ、とウェイトは言っているわけですね。
降り注ぐヨッド
塔の周囲には、合計22のヨッドが降り注いでいます。
22は大アルカナの枚数と一緒です。
ヨッドはヘブライ語で「手」であり恩寵の徴でもあります。
つまり『塔』によって示唆される状況・心境はビックリするかもしれないですけれど「悪いことばかりではなく、良いこともある」という事が示されているわけです。
禍福は糾える縄の如し、という事なのかもしれないですね。
解釈の例ー正位置
状況:急転直下・突然の出来事・プライドが打ち砕かれる
心境:ショックを受ける・失恋・屈辱
対策:真摯になる・素直になる・プライドの高さを反省する
解釈の例ー逆位置
正位置とほぼ同じですが、やや弱い示唆となることが多いです
また、浪費や、立てていた計画が白紙になるような時にも出るように感じます。