タロットと占星術の照応

「タロットと占星術は関係性が深い」と良く言われます。
確かにタロットと占星術は関係が深いのですが、私達が良く知っているいわゆる『星占い(アランレオ以降の現代占星術)』ではなく、古典占星術(伝統的占星術・占星学とも)と呼ばれるものが元となっていることをご存知の方は案外少ないかもしれません。
本項ではウェイト版タロットの元になった『Tの書』に於いてタロットと占星術はどのように照応しているのかについて解説したいと思います。

『Tの書』は「黄金の夜明け団」の秘密文章のひとつとされていますが黄金の夜明け魔法大系 (2)P337-371に解説が掲載されています
(原文はInternetArchiveで閲覧出来ます https://archive.org/details/IsraelRegardie-TheGoldenDawn-Vol4-1940/page/n131 )

目次

『Tの書』による大アルカナと占星術の照応関係

まずは大アルカナから。『0.愚者』から並べますと
『0.愚者:風』『1.魔術師:水星』『2.女教皇:月』『3.女帝:金星』『4.皇帝:牡羊座』『5.法王:牡牛座』『6.恋人:双子座』『7.戦車:蟹座』『8.力:獅子座』『9.隠者:乙女座』『10.運命の輪:木星』『11.正義:天秤座』『12.吊るされた男:水』『13.死神:蠍座』『14.節制:射手座』『15.悪魔:山羊座』『16.塔:火星』『17.星:水瓶座』『18.月:魚座』『19.太陽:太陽』『20.審判:火』『21.世界:土星』
のようになります。

一見分かりにくい照応ですが「惑星・星座・元素」の3つのグループに分けると分かりやすいでしょう。

■惑星のグループ:7枚

『2.女教皇:月』『1.魔術師:水星』『3.女帝:金星』『19太陽:太陽』『16.塔:火星』『10.運命の輪:木星』『21.世界:土星』

■星座のグループ:12枚

『4.皇帝:牡羊座』『5.法王:牡牛座』『6.恋人:双子座』『7.戦車:蟹座』『8.力:獅子座』『9.隠者:乙女座』
『11.正義:天秤座』『13.死神:蠍座』『14.節制:射手座』『15.悪魔:山羊座』『17.星:水瓶座』『18.月:魚座』

■元素のグループ:3枚

『0.愚者:風』『12.吊るされた男:水』『20.審判:火』

『Tの書』における大アルカナ照応は古典占星術のルーラー照応に基づいている

サインとルーラーシップ

占星術では12の星座にそれぞれルーラー(支配星、守護星、ドミサイルとも)が定められています。

最初にルーラーが決められた時代には惑星は7つしか発見されていませんでしたので獅子座に太陽、蟹座に月を照応させ、残りの5つの惑星を「水星:双子座・乙女座」「金星:牡牛座・天秤座」「火星:牡羊座・蠍座」「木星:魚座・射手座」「土星:水瓶座・山羊座」に照応させていました。

土星より外にある惑星の事を「トランスサタニアン」と呼びます。
トランスサタニアンが発見されるたびに「天王星:水瓶座」「海王星:魚座」「冥王星:蠍座」と変更・追加されてきました。
天王星は1781年に、海王星は1846年に発見されていますが19世紀末に作られた『Tの書』には反映されていません。

先程の図に大アルカナの照応通りに重ね合わせてゆくと上記のようになります。
『Tの書』ではサインに照応するカードは7枚ありますが、これをルーラーとみなすことによって見た目にもわかりやすくなったと思います。
『0.愚者』『12.吊るされた男』『20.審判』の3枚をトランスサタニアンのルーラーである、と考えるとぴったり綺麗に当て嵌まりますし、そう解説している本やウェブサイトはとても多いと思います。

ですが、先程も申し上げましたように『Tの書』では古典占星術を拠り所として照応を考えています。

『0.愚者』『12.吊るされた男』『20.審判』の3枚をトランスサタニアンに当て嵌めると「良い感じ」になりそうなのですが、トランスサタニアンに『0.愚者』『12.吊るされた男』『20.審判』の3枚を照応させると今度は小アルカナの2~10とサイン・惑星の照応の説明がつきにくくなります。

小アルカナの2~10とサイン・惑星の照応について

『Tの書』では、小アルカナの2~10と惑星・サインの照応も記載があります。
表にすると以下のようになります。

左側の長い表は『トートの書』などでご覧になられた方がいらっしゃるかもしれません
(※注:日付は大まかな目安であるのは言うまでもないことですね)
一見出鱈目にみえるこの表ですが右の2表のように「土星・木星・火星・太陽・金星・水星・月」を横軸に、縦軸にサインもしくは活動・不動・柔軟を縦軸にすると並び方に規則性があることがわかります。
そして使用している惑星が「土星・木星・火星・太陽・金星・水星・月」の7つであることもわかります。

もし仮にトランスサタニアンを大アルカナに入れようとすると、小アルカナでトランスサタニアンを使用していないことに矛盾が生じてしまいます。
またトランスサタニアンをタロットに照応させるのは自由ですが、冥王星が発見されたのは1930年であり、ウェイト版タロットが作られた1909年には発見されていなかったことを十分理解する必要はあるでしょう。
(余談ではありますが、冥王星が発見された後に作成されたトートタロットもトランスサタニアンとの照応は見られません)

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