この書籍は『ルノルマン』の解説書です。
ルノルマン占いの邦訳本としてはマーカス・カッツ著『ラーニング・ルノルマン』に続く2冊目にあたるこの本は、「初心者を視野に入れた本ではあるけれど、どちらかといえば中級者向」という印象を受けました。
ルノルマンの本を何冊か持っていて、ある程度ルノルマンが読めている、あるいはセミプロレベルで活躍している人が、この本に紹介されているリーディングメソッドを「自分のモノ」にすることができれば、もう一歩奥深いリーディングをすることが出来るようになるでしょう。
書籍の構成は、広告の後にご紹介します。
序文
著者による『エッセンシャル・ルノルマン』の紹介、ルノルマン占いとはどのようなものか、そして『エッセンシャル・ルノルマン』がどのような構成になっているかが書かれています。
『ルノルマンとは何か?』では第2部『36枚のカードをもっとよく見ていく』第3部『リーディングの技法とスプレッド』で言及されているメソッドのいくつかが紹介されていますので、時間を見つけて読み込んでみると良いでしょう。
第1部 ルノルマンを始める
第1部は、『自分のデッキを見つける』『最初にやるべきこと』『質問が答えを導く』などルノルマンカード占いを学ぶにあたっての心得が中心となっています。
『カードの記録をつける』『デッキをエクササイズする』などはルノルマン占いにかぎらず、占いを学ぶ上で大切なことが書かれていますので、初心者のみならず、占いを学ぶ人ならば、読んでおくと良いでしょう。
第2部 36枚のカードをもっとよく見ていく
第2部は、ルノルマンカードの解説です。
解説の構成は、以下のようになっています。
カード解説
最初のページにはルノルマンカードの絵、およびプレイングカード(トランプ)との関連、およびカードの解説が書かれています。
文脈的意味
このセクションでは『未来』『女性または男性』『仕事』『愛』『健康、身体、精神』『お金』『時またはタイミング』『アドバイスまたは行動』『傾向』『物や場所』のそれぞれの項目に対し、解釈の為のキーワードが書かれています。
このカードについての個人的物語
このセクションでは、著者の個人的なエピソードを交えながら、リーディングの実例が紹介されています。
例えば『騎手』では『コウノトリ+騎手・犬』、『騎手+庭+家』がエピソードと共に紹介されています。
どの例もリーディング実例としてわかりやすく、参考になるものばかりなので是非読んでみてください。
グラン・タブローの場合
シグニフィケイター(淑女・紳士)とどのくらい離れている、あるいは上下左右などの位置に出た場合の解釈、あるいは特定のカードの隣に出た場合の解釈が解説されています。
コンビネーションと例
ペアリーディングの例をいくつか紹介しています。
第3部 リーディングの技法とスプレッド
第3部は、ルノルマン占いのワークです。
ワークショップに参加するつもりで、しっかり取り組むことをお薦めします。
コンビネーション・ドリル
このセクションではコンビネーション、即ち2枚~3枚のカードを組みで読む為のエクササイズが紹介されています。
ルノルマンはペアで読むメソッド-例えばカードインザハウスなど-が多用されますので、コンビネーションリーディングは「必須」といえますので、このセクションで紹介されているワークをじっくり取り組むことをお薦めします。
アンサー・ライン
『アンサー・ライン』とは5枚もしくは7枚を一列にスプレッドし、占いをするものです。
日本では、あまり紹介されていないスプレッドだと思いますが、実占に取り入れても良いと思います。
ボックス・スプレッド
縦3枚、横3枚でスプレッドする9枚引きです。
リーディングの技法が面白いので参考になさってみてください。
決定のためのスプレッド
選択肢A・選択肢Bのふたつの選択肢に対し、3枚ずつスプレッドし、占うやり方が紹介されています。
占星術スプレッド
タロット占いでもよく知られている占星術(ホロスコープ)スプレッドが紹介されています。
ハウスと星座が対になって紹介され、それぞれの解説が丁寧に行われています。
ピラミッド・スプレッド
「洞察が必要な3つの主題」に対し、それぞれ3枚ずつスプレッドし、占うやり方が紹介されています
クロス・スプレッド
5枚のカードを十字の形にスプレッドし、占うやり方が紹介されています。
運命を変える
ある特定の質問に対し、何回か占いを行い「どんなことができるか」を探ってゆくという技法です。
具体的にはP368に書かれたやり方を参考にしながら行う必要がありますが、少しむずかしいかもしれません。
グラン・タブロー
本書では、8枚*4列+4枚の展開法のみが紹介されています。
この本が初めての方でも分かりやすいよう、丁寧に必要なリーディングメソッドが紹介されています。
※尚、『グラン・タブロー』で紹介されているリーディングメソッドは、日本語で書かれているルノルマンの本のいずれかに紹介されていますので、わかりにくい部分は、日本語で書かれているルノルマンの本と併読することをお薦めします。
付録
この本の特徴として付録が充実している、というのも挙げられます。
どの付録も学びを得ることができますが、付録Fの『コートカード』は他のルノルマン本では見られない考え方で、上手く取り入れることができたら一歩進んだリーディングとなる可能性を秘めている、と感じています。
付録A マドモアゼル・ルノルマンとは誰なのか?
マドモアゼル・ルノルマンの生涯が、年表形式で紹介されています。
付録B フォーカス・カード
著者は、いくつかのカードを『フォーカス・カード』として選定し、紹介しています
翻訳本ならではの独特な言い回しではありますが、リーディングの技法のひとつとして参考になると思います。
付録C 即座の解釈の手引き
36枚のルノルマンカードの簡易的なキーワードが掲載されています。
付録D ポジティブ、ネガティブ、ニュートラルなカード
36枚のルノルマンカードを「ポジティブ、ネガティブ、ニュートラル」に分類し、それぞれのニュアンスを紹介しています
付録E ハウスとその属性
36のハウスに対するキーワードが紹介されています。
付録F コート・カード
著者によれば、ルノルマンにもタロット同様にコートカード(人物札・宮廷札)を設定できるとされています
これはプレイングカード(トランプ)の人物札に宛てられているルノルマンカードをコートカードとしている、といううことですね。
解説も含め、読み込んでみると面白いと思います。
付録G ルノルマンとタロット
ルノルマンとタロットを併用した占いが紹介されています。
中でも著者が『ケルト十字ルノルマン』と名付けたスプレッドは、壮大だな、と感じています。
用語集
本書に出てくる用語が纏められています。
『活性化されたカード』や『ニュアンス・カード』のように本書独自の考え方も紹介されていますので、読んでおくと良いでしょう。