死神

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概要

『死神』のタロットカードが持つイメージは”仕切り直し”です。

決して「死=終わり」を表現してはいません。

死神

『死神』と呼ばれる骸骨騎士は白馬に跨がり、命を刈り取る鎌の代わりに「神秘の薔薇(ミスティック・ローズ)」が描かれた旗を掲げ、人々の前に厳かに姿を現しています。
騎士の足下には、絶命した人物がいます。
王冠が死体の傍らにあることから、地位の高い人物であった事が伺われます。

騎士の前には黄色い法服を着た司祭が祈りを捧げ、少女は跪き、女性は目を背けています。
「死は誰にも平等に訪れる」事を示しているともいえますが『死神』は肉体と魂を分離しても「殺し」はしません。
なぜなら、遠くに魂を運ぶ帆船が待機しているのが見えるからです。
魂を乗せた帆船は右のほうに描かれた滝を登り、洞窟を通って二つの塔の間に輝く光に導かれます。
肉体は魂の乗り物であり、肉体から離れた魂は、再び新しい肉体に宿るのです。

ディテール解説

骸骨の騎士

『死神』のカードは『愚者』に見られる赤い羽根がついています。
この事から『死神』は『愚者』の「変化した姿」であるとされています。
旅をしているだけなのに気がついたら骸骨騎士になっているとか不気味な感じもしますけれど、人間生きていれば「死ぬような思い」を体験することも一度や二度はあるわけです。
気づいたらとんでもないことになっていた、と言えば良いでしょうか。
あるいは「転機」が訪れている、という示唆を読み取ることも出来るでしょう。

船が渡る川・2つの塔

塔と言うと『』を連想する方も多いですが、2つ描かれているところから『月』に描かれている二つの塔、あるいは『女教皇』に描かれているヤキンとボアズの柱のように「境界線」の象徴として描かれています。
『死神』の下あたりに帆船が描かれていますが、これは魂を運ぶ為の船とされ、川を渡って(絵からはハッキリとは読めませんが)滝を登り、二つの塔へと向かう旅をする、とされています。
レイチェルポラックが”死を恐れず、向こう側にある新しい生へと、経験を通じて旅することの重要性(『タロットバイブル』P94)”と書いているように、魂を載せた船が境界(=塔)の向こうに向かって「上昇」するように、私達も過去の経験という名の「肉体」を離れ、新しい経験という名の「新しい生」に向かう必要性を示しているのかもしれません。
個人的には『月』と『死神』が出たときは2つの塔=境界線を意識してリーディングするようにしています。

不滅の太陽

二つの塔の間には太陽が描かれています。
ここに描かれている太陽は『愚者』や『太陽』に描かれている太陽とは異なっていて、不滅の太陽であるとされています。
不滅の太陽は魂が永遠に進歩し続けることを示唆しており、喩え『死神』のカードが出たとしても「ここがおわり」であることを物語っているわけではない、ということが示されています。

「神秘の薔薇」が描かれた黒い旗

騎士はマルセイユ・タロットなどに描かれている「鎌を持つ骸骨」ではなく「神秘のバラ」が描かれた旗を掲げています。
白いバラは『愚者』が右手に持っているものと同じで「薔薇十字団」のマークである、とされています(注)
Robert V. O’Neillはウェイトの著書”The Secret Tradition in Freemasonry”に類似する絵があると指摘しています
同著を探すと以下の画像が掲載されています。
ROSICRUCIAN-ROSE

高僧と処女

Robert V. O’Neillは『死神』のカードに描かれている高僧は『法王』であり、白い服を着た女性は『力』ではないかと言っています。
『法王』はともかく『力』は日本のタロティストも何人か指摘していますね。
8と5を足すと13になるのでなんとなく「それっぽい」のもポイントですね。
とはいえ『死神』と『力・法王』を結びつけた解釈は、あまりないように思われます。
ウェイトは高僧以外は死んでいると書いていますが、占い上ではあまり反映されていないようです。

白馬

白馬が描かれているのは『死神』と『太陽』の2枚であり、ウェイトは自らタロットを紹介したThe Occult Review 1909年12月号で(太陽)のアンチテーゼを補足する(なくてはならないもの)である、というように書いています。
また、馬は黙示録の光景を採用したとされていますが、そのことは占い上にはあまり反映されていないように思われます。

解釈の例ー正位置

状況:岐路・変化・節目
心境:仕切り直し・新しい局面・見切りを付ける(再出発)
対策:気持ちを切り替える・白紙に戻す・別の道を模索する

解釈の例ー逆位置

状況:停滞・グレーゾーン・不明瞭
心境:惰性で続く・受け入れられない・目をそらす
対策:恐れを抱かない・事実を見る・起死回生

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