概要
『吊るされた男』のタロットカードが持つイメージは”身動きできない心境・状況・視点を変える・アイディアが閃く・みずから望んで犠牲になる”です。
彼は磔にされ身動き出来ませんが、その顔は喜びで輝き、何かを思いついたかのようにも見えます。
『吊された男』は、タウ十字と呼ばれる磔の木に逆さ吊りにされています。
彼の頭には後光が差し、まるで殉教者であるかのように見えます。
事実、彼はこの状態を楽しんでいるかのようにも見えます。
彼の手は後ろに組まれ、足も逆4の字になっています。
磔の木の左右には葉が生い茂り、この木が生きている事を示しています。
ディテール解説
頭の後ろで輝く光
『吊るされた男』の頭の背後には、光が描かれています。
「天地逆」=視点を変えることでアイディアが閃いたり、苦しかったり困難だったりする状況の中から脱却出来るものをみつけることが出来る暗示です。
恍惚に輝く表情
『吊るされた男』に描かれた人物は文字通り吊るされていますが、彼の表情は苦痛にゆがんではおらず、まるで聖人のように輝きを見せています。
このことから「自己犠牲」という示唆を導き出すこともありますが、周りから見ると「やめれば良いのに」と思えるような事を進んでやっているような状況の時にも出やすいように思います。単に自己犠牲というだけではなく「自ら進んでやっている」わけですね。
タウ十字
男が吊るされた木は生きている、とウェイトは書いています。
『吊るされた男』の犠牲が十字架にエネルギーを与えているという解釈を散見しますが、レイチェル・ポラックが言うように”地下(無意識)から始まり物質世界(意識)を通って、天(超意識)にまで至って『タロットの書(P134)』”いる世界樹であるとみなすのが良いように感じます。
占い上で「木が生きている」事を示唆に組み込むとするならば、自己犠牲的態度が周囲に(良い)影響を及ぼすという示唆を導けそうですが、ウェイトが単純な犠牲をこのカードから読み取ることには否定的であることには留意したほうが良いでしょう。
十字に組まれた脚と後ろに隠された手
『吊るされた男』と『世界』のポーズは、天地を逆にするとそっくりになります。
とはいえ『吊るされた男』の逆位置の示唆と『世界』の示唆は同じではないですね。
このポーズは Robert V. O’Neill は「黄金の夜明け団」のマークではないか、と仮説しています。
解釈の例ー正位置
状況:奉仕・試練・視点を変える・身動きが出来ない
心境:自己犠牲・板挟み・忍耐
対策:発想の転換・じっと耐える時期・焦らず時を待つ
解釈の例ー逆位置
状況:報われない・尽くし損・逃避を選ぶ
心境:我慢できない・他人の価値観に沿えない・踏み出せない
対策:本当に動くべきかを考える必要・考えが間違っている事に気づく時